【横浜カルバリーチャペル】 天の窓
     
2023年1月1日

「天国行き切符」

先月、停電で遅延した新幹線の払い戻し特急券を盗んで逮捕された人のニュースを聞きました。そんな払い戻し特急券ばかり120枚もどうやって盗んだのか不思議に思ったのです。新幹線改札を出る際、2時間以上遅れた新幹線特急券は払い戻しの為、改札で回収されず再び出て来ます。この仕組みを知らない乗客が取り忘れた特急券を盗んでいたというのです。仕組みもそうですが、最近はSuicaやPasmo等交通系ICカードや、さらにカードもないスマホタッチ・モバイル改札の普及で、切符の使い方や買い方さえわからないという人もおりますから、120人も取り忘れたというのも頷けます。

私も昨年大阪を訪ねた際、新幹線切符で大阪市内のどこからでも乗車できるのを忘れて、普段のように無意識にスマホで改札を入ってしまいました。新幹線は改札も2つ、切符も乗車券と特急券の2枚と、慣れていない私はそれだけでも心配です。もしその遅延新幹線に私も乗車していれば121人目の犠牲者になっていたでしょう。やがて「切符」さえ知らない時代が来るのでしょうか。

昔、著名な米上院議員モロウ氏が列車に乗っていると車掌さんが切符の確認に来ましたが、切符がどこにも見当たりません。すると車掌さんが「モロウさんご心配なさらずに。誰も疑ったりしませんから」と言うと、モロウ氏が答えます。「いや、それは困る。私はどこへ行こうとしていたのか忘れちゃったのだ」。

新年を迎えましたが、私達も、人生「どこ行きの切符」を持っているのか、心のポケットを再度捜したいものです。主がその命で買ってくださった「天国行きの切符」を、私達は決して失うことも奪われることもできないからです。