【横浜カルバリーチャペル】 天の窓
     
2022年9月11日

「バッキンガムの祈り」

先週の天の窓は「ペレストロイカの祈り」と題し、旧ソ連ゴルバチョフ書記長の死去であったが、先週8日、イギリスのエリサベス女王が亡くなられた。存命する世界の国家元首では最高齢であり、世界史上2番目の最高齢君主であられた。エリサベス女王は、イギリス、スコットランドをはじめ、カナダ、オーストラリアを含む世界15ヶ国の元首である。カナダの全てのコインにはエリサベス女王の姿が刻まれており、古い私のカナダパスポートにもエリサベス女王の名と言葉で発行されていて、これらの国が誰のものであるかを示している。

先月の文藝春秋で、「エリサベス女王即位70周年 愛される理由」との特集が組まれたよう、エリサベス女王は自国だけではなく、世界中で最も愛され尊敬された君主であり、The Queen(世界の女王)と呼ばれるに相応しい御方であった。その名のごとく、女王は英王室史上最多の100ヶ国以上を訪ね、優れた外交手腕と、その穏やかな人格により世界平和に貢献した。最も特筆すべき訪問は、「最も近くて、最も遠い国」と呼ばれたアイルランドである。2011年危険を覚悟の上での女王訪問は、英君主による1世紀ぶりのアイルランド訪問という快挙であった。反対し敵対する人々の声が上がる中、エリサベス女王はその晩餐会で、イギリス植民地時代、英語に取って代えられたアイルランド公用語のゲール語で平和を語った。それを聞いたアイルランドの人々は大いに驚き息を飲んだという。これ以降、両国の長く深いしこりは解けて行ったという。

ペレストロイカにバッキンガム宮殿の祈り。偉大な君主達は皆、自国の為だけではなく、世界の平和の為に祈り献げた生涯であった。今日9.11は、米同時多発テロで約3千の命が失われ、2万5千人の人が負傷した恐ろしい悲しみの日である。それはまた、ゴルバチョフ書記長やエリサベス女王、そして私達の愛する武井先生を、多くの死と平和の為に献げられた命を覚える時でもある。彼らの祈りと信仰のレガシィは、今もここに、力強く生き続けるのである!