【横浜カルバリーチャペル】 天の窓
     
2022年9月4日

「ペレストロイカの祈り」

8月30日、旧ソビエト連邦共産党書記長ミハイル(Michaelミカエル)ゴルバチョフ氏(91)が亡くなられた。1985年書記長に就任すると、「ペレストロイカ」(再建の意)と呼ばれた民主主義経済改革に取り組み、西側諸国との間の「鉄のカーテン」を取り除くべく、米国に中距離核戦力(INF)の全廃を提案し合意締結した。その結果、60年以上続いたソ連共産党支配に終止符を打ち、ソビエト連邦は崩壊して東西冷戦は終結した。またスターリンやレーニンを批判し、教会に対し行った党の罪を認め謝罪した。1989年にはアフガニスタン進攻を終わらせて撤退し、同年起きた「ベルリンの壁崩壊」に道を開いたとの功績が称賛され、1990年世界平和に貢献したとして「ノーベル平和賞」が贈られた。

「世界滅亡への時を示す終末時計の針を逆方向に動かした」と言われたゴルバチョフ氏の功績は、ロシア国内よりも世界で広く認められ称賛されている。現ロシア大統領プーチン氏は「ソ連崩壊は20世紀最大の悲劇」と呼ぶが、ゴルバチョフ氏が築いた平和への道を自らの野心でウクライナに侵略し、鉄のカーテンならぬパンドラの箱を開き、罪のない多くの者の血を流し、終末時計の針を再び進めた者にそんな資格はない。現在、日本では安倍元首相の国葬問題に異議が唱えられているが、ロシア大統領府はこの逆で、31日に「国葬は計画されていない」と。プーチン大統領も葬儀には予定があって参加しないとの事。

生前、ゴルバチョフ氏は聖フランシスコの墓を訪れた際、30分もそこにひとりひざまずいて祈られた。神に仕えて生きたひとりの聖人の前で、彼は何を語り何を祈ったのであろうか。この地にまことの平和を願って生きたふたりの人。今、天で何を語り合い、共に何を祈っているのであろうか。そう、ゴルバチョフ氏の体には、ロシア人の血とウクライナ人の血が共に流れているのである。

「平和を作る者は幸いである。彼らは神の子どもと呼ばれるからです」マタイ5:9