【横浜カルバリーチャペル】 天の窓 |
2021年12月19日
![]() 「クリスマス2つの系図」 新約聖書マタイ福音書は、カタカナ名が見事に並ぶイエスキリストの系図から始まるのは有名だが、実はキリストの系図はルカ福音書にもある。しかし、ルカは系図を1章ではなく3章に置いた。それはクリスマスで語られるイエスの誕生からバプテスマまでの記事と、公生涯開始との間である。この2つの系図を比べると大変興味深い事がわかる。ユダヤ人に宛てて書いたマタイは、ユダヤ民族の始まりであるアブラハムからイエスに向かって時の流れ通りに記したが、異邦人ルカは、逆にイエスキリストから神が創造したアダムとエバまで時をさかのぼる。2つの系図にある名はアブラハムからダビデまでは同じであるが、ダビデからイエスまでは全く異なる。マタイの系図を読み慣れている私達には、ルカの系図でイエスからダビデまでに記された名は4人を除き誰だか全く想像もつかない。それをもって聖書は偽りだと言う人がいるが、その理由は案外簡単である。マタイは父方の系図であり、ルカは母方の系図なのである。ルカ3:23で「ヨセフはヘリの子」とあるが(マタイではヨセフの父はヤコブ)、ヘリとは妻マリヤの父のことである。旧約聖書でメシアはダビデの子孫から生まれると予言されている。聖霊によってマリヤから産まれたイエスは、父ヨセフとの間に血縁関係はない。そこで医者でもあったルカは、血縁関係のある母マリヤの系図をたどってもダビデにたどり着くことを、そして、この御方は完全な「人の子」であって、また同時に完全な「神の子」であることを伝えたかったのである。 今日、世界中でルカ福音書からメシアなるイエスキリストの誕生が語られている。ヨセフとマリヤから生まれたイエスは、単にユダヤ人の王/人の子として生まれただけでなく、アダムとエバ、即ち、さかのぼれば人を創造した神につながる全人類の「救い主」であると、ルカは、いや聖書は私達に伝えているのである。先日、私も愛する母を失って、はじめて気付かされた母方の系図、神の恵みの流れであった。 Merry Christmas to You |