【横浜カルバリーチャペル】 天の窓
     
2020年2月2日

「 幕尻土俵 」

横綱休場の大相撲初場所は大波乱の展開となった。平幕の徳勝龍が千秋楽で大関貴景勝を破り見事優勝。この千秋楽時点での番付けでは、幕内で最も上の大関と、幕内で最も下(幕尻)である前頭十七枚目との異例の取り組みを、みごと徳勝龍が勝利し、14 勝1 敗の好成績で初優勝を決めた。

優勝が決まった瞬間、重圧から解放されたのか、勝ち名乗りを受ける前からこらえきれず土俵で男泣き。その後、優勝インタビューの第一声は「自分なんかが優勝していいんでしょうか」と爆笑。「優勝については?」と聞かれると、「いえ、意識することなく…」と一瞬止まった。「ウソです。めっちゃ意識していました。バリバリ優勝インタビュー練習していました。」と正直に答えると、会場は再び大爆笑と歓声に包まれた。まさに涙と笑いの感動の初優勝であった。優勝を決めた取り組みのYouTube 視聴回数は約8千回ほどなのに、優勝インタビューはその約50 倍の38 万回を超えるという驚きの現象である。日本中が徳勝龍の初優勝を喜び祝った事であろう。

その目の涙には特別な意味と絶大な価値が込められていた。四股名「徳勝龍」には、近畿大学時代の恩師伊藤勝人監督からいただいた「勝」の字がある。その恩師が、場所中7 日目に突然亡くなられた。その日以来、徳勝龍は動揺するどころか「勝」ち続け、何と一度も負けていない。インタビューでも、恩師が「一緒に土俵で戦ってくれたような気がした」と泣かれた。

「あなたは、泣きながら笑った事ありますか」とは、このような事であろう。聖書には多くの逆転がある。「後の者が先となり、先の者が後となる」「誰でも自分を高くする者は低くされ、低くする者は高くされる」。「わたしは仕えられるためではなく、仕えるために来たのです」。今日の聖書箇所である「復活」も究極の逆転であり、これはまさに逆「天」と言う事ができるであろう。誰よりも低い事、弱い事、小さい事をこそ我が力として、この人生という「幕尻土俵」で涙し、最後に笑うまことの「勝」利者となろうではないか。 「私が弱い時にこそ、私は強いからです」 2 コリント12:10