【横浜カルバリーチャペル】 天の窓
     
2019年8月4日

「 Human Doing とHuman Being 」

48.8%と史上2番目の低投票率となった参議院選挙。与党の勝利や野党の奮闘が語られる中、一体どちらが勝利したのかよくわからない選挙であった。そんな中、与党や野党という「既成政党」ではない第三極の「れいわ新選組」や「N国党」に票が集まり議席を得たのには正直驚かされた。

特に、元俳優、元参議院議員の山本太郎氏が代表の「れいわ新選組」。山本氏は、その独特の行動から批判も多いが、今回の選挙では見事、世界初となる人工呼吸器を必要とするALS 患者の船後靖彦議員と、生後8 ヶ月の事故で重度障害者となられた木村英子議員を当選させた。障害者に国会議員が務まるのかとの声もあるが、その出馬の理由を聞かれた船後議員は、「自分と同じ苦しみを、障害者の仲間に味わわせたくないから」と答えられ、木村議員は「障害の厳しい現状を打開する為には障害者自身が国会に出なければ理解してもらえないし、変わらないから」と答えられた。

国会とは、本来、こういう弱い立場にある方々を守る為に議員が選出され、選出された議員が、彼らの為に彼らの声となって政治を行う場であると思っていたが、最近のニュースを見ていると、(僅かな例外であっても)何の為に議員になったのか理解できない方もあって、弱い立場にある人達が、自ら国会に直接出て行かなければ声とならないのかと思うと悲しくなる。

先週、百名以上の支援者達の拍手の中、花束と共に「がんばれ、行ってらっしゃい!」と見送られ初登院した二人の議員。こんなに温かい初登院があったであろうか。とは言え「たった二議席ではないか」との声もあるが、ご自身は落選した山本元議員のあの笑顔。それは彼が当選した時の笑顔より美しかった。テレビ東京のライブで池上氏に「東京選挙区で出ればおそらく当選確実と言われていたのに、なぜあえて事実上比例3 位という判断を?」と聞かれた山本代表は、「私ひとりの議席を守る為の選挙はするつもりはなかった」と答えた。自身の落選、二人の当選を前に「生産性だけで人間をはからせない世の中を作る一歩を皆さんと作った」と笑顔で答えた。落選とはいえ山本氏個人で99 万票も集めた事は大きな一歩であった。

英語で「人」は”Human being”であって”Human doing”ではない。何かをする、何かができる事が人の価値ではない。神に創られ愛されるあなたという一人の存在こそ人の価値である。多くを考えさせられた選挙であった。


【注】「天の窓」は特定の政党や議員を支持するものではありません