【横浜カルバリーチャペル】 天の窓
     
2019年6月23日

「 百年ハナミズキ 」

平成で最も多く歌われた歌をご存知であろうか。一青窈(ひととよう)さんの「ハナミズキ」である。

令和に入って、「100年安心」であったはずの年金と老後が、突然30年間で2千万円必要と言われ、国民の間に混乱と不安と怒りが満ち満ちて、政府は火消しに躍起になっている。まさに「ハナミズキ」で歌われた「君と好きな人が百年続きますように」とは、単なる過去(平成)の夢言葉だったのかと思わされる。

「ハナミズキ」は、台湾人の父と日本人の母を持ち、慶應義塾大学時代、ストリートライブを行っていて、後程スカウトされた一青窈さんによって書かれ歌われたものである。この歌は、アメリカ同時多発テロ時に、彼女がNYの友人から貰った手紙をきっかけに一週間で書いたそうである。突然、愛する者を失った人々の深い心の痛みを想い、「平和が百年いつまでも続きますように」と、ここに切なる願いと祈りが込められている故に、今なお、人々の心に届き、歌われ続けるのであろうか。

別名「アメリカ・ヤマボウシ」と呼ばれるハナミズキは、アメリカが原産の木であって、元来日本に生息するものではない。1912年に日本がアメリカに贈ったワシントンDCポトマック河畔の桜の返礼として、日本に贈られたものである。太平洋戦争が始まるとハナミズキは「敵国の木」としてことごとく切り倒されたが、戦後、生き残った原木が蘇ったのである。

白とピンクの四弁の花が十字の形をしていることからか、キリストが掛かられた十字架は「ハナミズキ」という伝説があり、昔は大きな木であったハナミズキは、キリストが掛かられた故に小さな木になったと言う。ただ、イスラエルにハナミズキが生息していたという記録がないので、これは単なる伝説であろう。しかしながら、太平洋戦争や同時多発テロを越え、今も、アメリカや日本、そして世界に美しい花を咲かせるハナミズキは、切られても復活する命と平和の木と言えるであろう。ハナミズキの花言葉は「返礼」であって、今朝も、私達は主の十字架と復活に感謝の返礼(礼拝)を献げ、この平和がここに「百年続きますように」と祈るものである!