【横浜カルバリーチャペル】 天の窓
     
2019年5月26日

武井博 名誉牧師 著

5月と言えば「五月(さつき)晴れ」をイメージされる方も多いかと思います。江戸時代の俳聖、松尾芭蕉にこんな句があります。

 「五月雨(さみだれ)をあつめて早し最上川」
また、与謝野蕪村にも、
 「さみだれや 大河を前に 家二軒」という句があります。

 ところが、この両句の「五月雨(さみだれ)」は、実は、旧暦(太陰暦)の「五月の雨」で、今の太陽暦とは一か月違うのです。ですから、旧暦で「五月晴れ」と言えば、六月の「梅雨」の間に現われる「晴天」のことなのです。ということで、今、私たちが普通に使っている「五月晴れ」というのとは、一か月違うのです。それでも、五月の季節は、暑くもなく、寒くもなく、空気もさわやかで、晴天の日も多く、最高です。
 ところが、この五月は、日本においては、一年中でいちばん「自殺」の多い月でもあるのです。特に、30 代、40 代の自殺者が多いということです。自殺の原因としては、健康問題、経済・生活問題が多いそうです。
 また、最近、わが国では、自殺の原因として過労自殺というのが目立ってきています。長時間労働、深夜労働、過労、孤立、自責感、心理的抑圧感、等々、新しい問題が持ち上がってきています。
 ますます労働力不足の現象が予想される中で、如何に人間的な労働条件を整えていくか、それは国にとっても、私たち庶民にとっても大きな問題だと思います。
 日本人は真面目で勤勉です。それは、大変な美徳です。その真面目さ、勤勉さが、人間的な限度を越えた労働にも耐え、乗り越えて行こうとするエネルギーになっていることは間違いありません。しかし、人間には、肉体的、精神的限界というものがありますから。その限界を越えさせてまで、労働を課すことは、許されません。
 聖書はこう教えています。「もし人が、神の宮を破壊するなら、神はその人を滅ぼすであろう。なぜなら、神の宮は聖なるものであり、そして、あなたがたはその宮なのだからである。」(「コリント第一の手紙」3:17)。「神の宮」である私たちの内側は、更に、ご主人であられる創造主なる神様がお宿りになられる大事な「器」なのです。その「器」が人によって破壊されることは、許されません。日本の五月が、「自殺の五月」てはなく、「信仰の五月」に変わりますように。ハレルヤ!